11月4日(土)は大阪で開催された「フィールドブレンド」という南アフリカワインにフォーカスしたイベントに参加してきました。日本の購読制WEBワインメディアの第一人者ともいえる「WINE REPORT」による主催で行われました。
「WINE REPORT(ワインレポート)」は、言うまでもなく、日本の中でもトップクラスのワインWEBメディア。
ワインジャーナリストであり、「死ぬまでに飲みたい30本のシャンパン」「読めば身につく! これが最後のワイン入門」などの著書も執筆されている、山本昭彦氏がその総元締めとして運営されています。
有料購読サイトの「ワインレポート」は、広告は原則掲載せず、会員費用のみで運営されるという媒体です。
過去、無料コンテンツで提供されていましたが、有料コンテンツに変更後はその体制も大きくパワーアップ。
特に、協力者として、現在日本在住の日本人でマスターオブワインの称号を持つ、大橋健一MWが参加。かつ、ソムリエ・ワインコンサル・レストラン経営と活躍する大越基裕ソムリエも。他にもサポートメンバーはいますが、主となるのは、山本昭彦氏(ワインジャーナリスト)、大橋健一MW(マスターオブワイン)、大越基裕氏(ソムリエ、コンサルタント)の3名で構成されています。
海外のワインニュースをいち早く日本語で提供されるのがワインレポートの最大の強み。
ワインの一般愛好家にもその門戸を開いていると言う貴重な存在です。有料コンテンツ化がされておよそ1年。現在は一定の購読者が集まっているとのことで冒頭にも山本氏から説明がありました。今回の「フィールド・ブレンド」はワインレポートの会員枠のみならず、非会員枠も設けての開催。
山本氏より冒頭に簡単に当イベントの主旨が説明。
(左:山本昭彦氏、右:大越基裕ソムリエ)
「フィールド・ブレンド」の意味は「混稙(こんしょく)」。
定期的な開催、専門性に特化した話題、垣根のない参加者を募って、かつその道の権威を1名ゲストとして参加させる、という点をイベントコンセプトとして置いているとのこと。
大阪での初開催は、当ブログも追いかけている産地である「南アフリカワイン」です。
参加者は、輸入元、ワイン従事者の他、一般愛好家も含んでいるとのことでした。
ざっと見た中でも、会場には様々な雰囲気の方がいらっしゃる印象でした。
正直、このような影響力のある人々が集結し、かつ50名の立食ですので、結構会場パンパンで、人と人とがひしめき合う感じで大盛況。
写真こそはクローズアップして撮っていますが、身動きもとりづらいくらいでした。それほど影響力のある方々の主催ですから、当然と言えるでしょう
(大岡 弘武氏)
さて、ワイン自体は南アフリカの物でしたが、
今回の特別ゲストは、フランスのコルナス地区で「ラ・グランド・コリーヌ」を運営する大岡 弘武(おおおか・ひろたけ)氏。日本人として、ナチュールワインをフランスの地でいち早く手がけた先駆者的な存在。
元E.ギガルの地区栽培長、また、コルナス地区のドメーヌ・ティエリー・アルマン栽培長などを経て、現在はラ・グランド・コリーヌに専念。また、日本の岡山という地区で、岡山ワイナリーという新しいプロジェクトを始動。
ラ・グランド・コリーヌは栽培はビオロジックを実践。除草剤や化学肥料も使わないと言うナチュールワインを手掛けます。現在、日本に帰国しているとのことで、大橋MWからの招集などもあり、本日は参加。
フラグシップのコルナスは、入手難銘柄です。この日は、サン・ジョセフなどのミドルレンジを一部提供してくれました。
余談ですが、こちらのTシャツはワインレポートチームの「フィールド・ブレンドTシャツ」とのことで、会場で一般の人も購入できました(買った人はサインがもらえたりします)大橋MWの秘書の方によるデザインとのこと。
やったぜ!まるで見たことない南アのワインが2種ある!!
と思ったのですが…まさかのモトックス社の輸入でした。エルギン・リッジという生産者です。
今回は特に自然派ワインに強いと言う、酒販店の「小松屋」さんの協力で成り立っているようです。
それゆえか、やや自然派テイストな生産者が多く見られました。登場は以下の10本です。
泡:エルギン・リッジ MCCブリュット・ロゼ(モトックス)
白:リチャードカーショウ エルギン・シャルドネ クローナルセレクション 2015(モトックス)
白:アタラクシアワインズ シャルドネ 2015(ラフィネ)
白:クラヴァンワインズ ピノ・グリ 2015(ラフィネ)
白:エルギン・リッジ カオス ホワイト 2016(モトックス)
白:テスタロンガ エル・バンディート マンガリーザ 2015(ラフィネ)
赤:クラヴァン ワインズ サンソー 2016(ラフィネ)
赤:クラヴァン ワインズ シラー・ザ・ファーズ・ヴィンヤード 2016(ラフィネ)
赤:テスタロンガ エル・バンティート・ザ・ダーク・サイド 2016(ラフィネ)
赤:リチャード・カーショウ エルギン・シラー クローナル・セレクション 2014(ラフィネ)
(仏ワインとして)
赤:ラ・グランドコリーヌ ヴァンドフランス
白:ラ・グランドコリーヌ サンジョセフ サンペレイ 2006(1本のみ)
お料理は立食式で、南アのボボティなど郷土料理が登場。お酒もある限り、好きなものを選んで飲んでいく、と言うスタイルです。エライ贅沢なブッフェスタイルっすね。また、ワインの提供はワインレポートチームが来客者にワインを注ぐ、という贅沢な形式になっていました…。
印象に残りましたのは、やはり個人的にお気に入りの銘柄と言うのもあるのですが、リチャード・カーショウのシラーでした。13年は飲んだことあったのですが、14年はより締まりがあってシルキー。美味しかったです。
南アフリカワインの権威「プラッターズガイド」という世界で1,400万部(累計)の発行部数を誇る、ワインガイド。キャシィ・ヴァン・ジルMWはその主席級のポジション。
特に大橋MWがマスターオブワインの最終論文を作る中で、その指導に名乗りを上げた唯一のMW。大橋MW曰く「私は英語が不十分だったから、意思の疎通が出来る・出来ないという面で、既に高いハードルがあった。キャシィの協力がなかったら、私はマスターオブワインになれなかった。」とのこと。
(キャシィ・ヴァン・ジルMW)
南アフリカの魅力はその産地としての多様性にある。ヒマラヤよりも6倍古く、ロッキー山脈よりも5倍古い土壌を有している。
畑も山中に位置するものがあり、西からの涼しい海流と東からのあたたかい海流がぶつかり合い、霧が出来る。
作り手も、ここ20年で急速に進化している。海外に出て修業をする生産者が増え、また20年前から徐々に樽の要素は排除したワインメイクが主流となってきている。
土地、品種、醸造方法などの組み合わせが増えてきたことがあり、「新しい」産地として注目されている。
一生に飲めるワインは限られている。日々のワインを「新しい・発見」としてほしい。たくさんのワインを飲むことによって、いろいろな感想を持ってほしい(要約)
1本ずつの解説(ポイント)が説明されていきました。個々のワインは個別に記事にしていきます。
ありがたいことに、日本の南アフリカワイン輸入の第一人者、輸入元のマスダの三宅さんがいらっしゃってました。阪神大ワイン祭で壇上で講師もやって、販売もやって、そのまま参戦。翌日も阪神大ワイン祭で販売応援だそうです。もともとお忙しい方ですが、この日もエグいスケジュールです。
私も英語ができませんので、キャシィMWにマスダの三宅さんに都合良く通訳をお願いして、いくつかキャシィMWに質問しました。お二方とも引っ張りだこなので一部しか聞けなかったですけど…。
Q.南アのワイン生産量自体は増えているのか?
A.直近だけ切るとると、特に天候要因の影響が厳しく出ている。乾燥した気候が続いているため、生産量は17年収穫としては落ちている。
(マスダ三宅氏補足)特に、灌漑に頼っている所はダムの水不足が深刻に出ている。生産量全体が減れば、当然供給量も減るので、難しい所。
Q.プラッターズガイドは今回100点制度を導入したけど、この辺もう少し詳しく教えて。
A.まず、プラッターズガイドとしても「100点制度」は4年ほど前から導入している。(ちなみに、私KOZEが所持している書籍版2016の冒頭にレート基準が書いてありました…)星5つの評点は今後も続けていく。書籍版は星5つ。APP版(WEB版)は合わせて100点制のスコアを表示するようにした。
Q.プラッターズガイドの100点制度を導入した理由は?
A.生産者やマーケットからも「星4.5」と「星5つ」の格差が出てしまっていると感じる。星4.5でも1回目の審査を通過(後術)したものが選ばれているのに、「星5つが良くて、星4.5はダメ」という風潮がある。
ここの公平性を出す意味でも、星5つ(95~100点)と、星4.5(90~94点)を見える化した方がいいとの判断。結果として、星4.5の中でもフェアになると思っている。
Q.審査のやり方は??特定の個人の評点に偏ることはないの?
A.まず1回目の審査はパネラー14名がいる中で行う。
うち、「90点以上(星4.5以上確定)」が獲得されたものは第二審査とする。第二審査は、再度3名でブラインドテイスティング。うち95点以上を獲得したものが星5つ(最高評価)を与えられる。
一個人の評点、という点では、(キャシィMW個人として)97点をつけた銘柄も過去あったが、いろいろふるいに掛けられて、最終的にそのワインは「92点」というレーティングだった。なるべくフェアになるようにしている。
Q.ぶっちゃけ、5つ星獲得が年々増えていて、今回は111本もある。多すぎない?
A.生産者が増えている、という点と、なにより品質が年々上がっているというのが大きい。南アフリカの生産者でも海外に出て修業を積んで、南アに戻ってくるというケースが多々あるので、非常にアクティヴで、土壌・品種・醸造含めて、新しいものが多い。5つ星は、2回の審査を経たものだから折り紙つきであることは間違いない。
また、大越基裕ソムリエからも「料理とのペアリング」という観点でのレクチャーもありました。
大越基裕ソムリエは現在、ベトナム料理の自身のお店、アン・ディを東京の渋谷区外苑前に17年7月にオープンしたばかり。
参考:モダンなベトナム料理とワイン、大越基裕ソムリエの「アン ディ」オープン
(大越基裕ソムリエ)
日本の食事は旨味が多かったり、口当たりが良いものが多い。ワインを合わせる上でも、タンニンや酸がしっかりしたものを選ぶよりも、わずかな残糖感や、旨みがしっかりしたものの方があいやすい。
うまみやにごりがあるようなワインは汎用性がある。旨みにもいろいろ種類があって、旨みと旨みが合うとコクになり、満足度が上がる。
オレンジワインやスキンコンタクトをした渋みを出した白ワインは、素材の軽さと脂質のあるもの、たとえば天ぷらとあったりする。自店で出しているのがアナゴのフリット。トマト、ヨーグルト、カルダモンのソースを添えている。南アフリカのオレンジワインは、他国のオレンジワインのタイトなものとは違い、果実みと渋みを備えているので、うまくペアリングする。
世界の料理が全体的に”軽い”傾向になっていく中で、南アフリカの豊かだけど重くない、豊かだけどフレッシュというワインは非常に汎用性が高いと思っている(要約)
日本が誇る権威、大橋MWからも総括としてコメント。
(大橋健一マスターオブワイン)
南アフリカのワインはサステナビリティ(持続可能性)という観点を持ったワイン生産国。自然保護の観点、ブドウ栽培に携わる労働者の保全、世界的に見ても倫理観のある生産地。
南アフリカのケープタウンは、世界の植物区の1つとして知られ、北半球一体に相当する植物種の数(およそ9,000種、69%の固有種)がケープタウンに集中しているという環境がある。
参考:Cape Floristic Region
常に、環境保全と言う点では国が厳しい基準を設け、ワイン生産者もそれにのっとって生産を行っている。たとえばワイン畑を開墾するするならば、その分、同等の植物(フィンボス)を植えなければならないなど。
また、労働者に関する賃金でもフェアトレードと言う観点を持っている。残念ながら、いくつかの生産国では、コストの安い労働者を使ってのワイン生産も行われている。南アフリカはワイン産業を持って、ブドウの生産者にお金が落ちていくような仕組みが出来ている。
そのような背景をワインを飲む側も理解したうえで、楽しんでほしい。そうして広がっていけば、ワインを飲む人の倫理観の向上にもつながっていくのではないかと思っている。(要約)
以上を持って盛大に終わりました。
さて、非常に大盛況で、結構キャパもパツパツで、かついろんな業種の人がいますから楽しかったです。
ワイン好きが高じて業界の中の人になったというお姉さんとかと話しましたが、御三家(山本氏、大橋MW、大越ソムリエ)とめっちゃよろこびながら写真撮ってました。わかりみ。
当然、主催の方々は引っ張りだこな状況ですし、特に一般愛好家の方が今後「フィールドブレンド」に参加されるようならば、もう飲んだついでにグイグイ行くくらいが良いです。時間も2時間でワインの解説あり、食事あり、だと「もっと会話がしたかった」的な雰囲気が漂いそうなので、積極的な方がアリです。
大橋MWにも、南アのワインに関係ないこととか聞いてしまったのですが、お話伺えば100返して頂けたので、バシバシ今後のイベントも参加される方は質問を投げられると良いかと思います。次回はもっとバシバシ行けるように頑張りたいと思います。
貴重なワインレポートチームのショット。左から大橋MW、山本昭彦氏、大越基裕ソムリエ。
大変に貴重な会でした。ワインレポートチームのみなさんありがとうございました。
また大阪で是非ともやってください。
■WINE REPORT - ワインジャーナリスト山本昭彦によるワインレポート
https://www.winereport.jp/
■大橋 健一 MW(代表取締役社長) | 株式会社 山仁
http://www.yamajin.com/about/72/
■ベトナム料理店 Ăn Đi アンディ(大越ソムリエのベトナム料理店)
https://www.facebook.com/andivietnamese/
■Platter's Wine Guide
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WINE REPORT および フィールド・ブレンドとは
「WINE REPORT(ワインレポート)」は、言うまでもなく、日本の中でもトップクラスのワインWEBメディア。
ワインジャーナリストであり、「死ぬまでに飲みたい30本のシャンパン」「読めば身につく! これが最後のワイン入門」などの著書も執筆されている、山本昭彦氏がその総元締めとして運営されています。
有料購読サイトの「ワインレポート」は、広告は原則掲載せず、会員費用のみで運営されるという媒体です。
過去、無料コンテンツで提供されていましたが、有料コンテンツに変更後はその体制も大きくパワーアップ。
特に、協力者として、現在日本在住の日本人でマスターオブワインの称号を持つ、大橋健一MWが参加。かつ、ソムリエ・ワインコンサル・レストラン経営と活躍する大越基裕ソムリエも。他にもサポートメンバーはいますが、主となるのは、山本昭彦氏(ワインジャーナリスト)、大橋健一MW(マスターオブワイン)、大越基裕氏(ソムリエ、コンサルタント)の3名で構成されています。
海外のワインニュースをいち早く日本語で提供されるのがワインレポートの最大の強み。
ワインの一般愛好家にもその門戸を開いていると言う貴重な存在です。有料コンテンツ化がされておよそ1年。現在は一定の購読者が集まっているとのことで冒頭にも山本氏から説明がありました。今回の「フィールド・ブレンド」はワインレポートの会員枠のみならず、非会員枠も設けての開催。
山本氏より冒頭に簡単に当イベントの主旨が説明。
(左:山本昭彦氏、右:大越基裕ソムリエ)
「フィールド・ブレンド」の意味は「混稙(こんしょく)」。
定期的な開催、専門性に特化した話題、垣根のない参加者を募って、かつその道の権威を1名ゲストとして参加させる、という点をイベントコンセプトとして置いているとのこと。
大阪での初開催は、当ブログも追いかけている産地である「南アフリカワイン」です。
参加者は、輸入元、ワイン従事者の他、一般愛好家も含んでいるとのことでした。
ざっと見た中でも、会場には様々な雰囲気の方がいらっしゃる印象でした。
正直、このような影響力のある人々が集結し、かつ50名の立食ですので、結構会場パンパンで、人と人とがひしめき合う感じで大盛況。
写真こそはクローズアップして撮っていますが、身動きもとりづらいくらいでした。それほど影響力のある方々の主催ですから、当然と言えるでしょう
ゲストは日本人ナチュールワインの先駆者 大岡 弘武氏(ラ・グランド・コリーヌ)
(大岡 弘武氏)
さて、ワイン自体は南アフリカの物でしたが、
今回の特別ゲストは、フランスのコルナス地区で「ラ・グランド・コリーヌ」を運営する大岡 弘武(おおおか・ひろたけ)氏。日本人として、ナチュールワインをフランスの地でいち早く手がけた先駆者的な存在。
元E.ギガルの地区栽培長、また、コルナス地区のドメーヌ・ティエリー・アルマン栽培長などを経て、現在はラ・グランド・コリーヌに専念。また、日本の岡山という地区で、岡山ワイナリーという新しいプロジェクトを始動。
ラ・グランド・コリーヌは栽培はビオロジックを実践。除草剤や化学肥料も使わないと言うナチュールワインを手掛けます。現在、日本に帰国しているとのことで、大橋MWからの招集などもあり、本日は参加。
フラグシップのコルナスは、入手難銘柄です。この日は、サン・ジョセフなどのミドルレンジを一部提供してくれました。
余談ですが、こちらのTシャツはワインレポートチームの「フィールド・ブレンドTシャツ」とのことで、会場で一般の人も購入できました(買った人はサインがもらえたりします)大橋MWの秘書の方によるデザインとのこと。
登場の南アフリカワインについて
やったぜ!まるで見たことない南アのワインが2種ある!!
と思ったのですが…まさかのモトックス社の輸入でした。エルギン・リッジという生産者です。
今回は特に自然派ワインに強いと言う、酒販店の「小松屋」さんの協力で成り立っているようです。
それゆえか、やや自然派テイストな生産者が多く見られました。登場は以下の10本です。
泡:エルギン・リッジ MCCブリュット・ロゼ(モトックス)
白:リチャードカーショウ エルギン・シャルドネ クローナルセレクション 2015(モトックス)
白:アタラクシアワインズ シャルドネ 2015(ラフィネ)
白:クラヴァンワインズ ピノ・グリ 2015(ラフィネ)
白:エルギン・リッジ カオス ホワイト 2016(モトックス)
白:テスタロンガ エル・バンディート マンガリーザ 2015(ラフィネ)
赤:クラヴァン ワインズ サンソー 2016(ラフィネ)
赤:クラヴァン ワインズ シラー・ザ・ファーズ・ヴィンヤード 2016(ラフィネ)
赤:テスタロンガ エル・バンティート・ザ・ダーク・サイド 2016(ラフィネ)
赤:リチャード・カーショウ エルギン・シラー クローナル・セレクション 2014(ラフィネ)
(仏ワインとして)
赤:ラ・グランドコリーヌ ヴァンドフランス
白:ラ・グランドコリーヌ サンジョセフ サンペレイ 2006(1本のみ)
お料理は立食式で、南アのボボティなど郷土料理が登場。お酒もある限り、好きなものを選んで飲んでいく、と言うスタイルです。エライ贅沢なブッフェスタイルっすね。また、ワインの提供はワインレポートチームが来客者にワインを注ぐ、という贅沢な形式になっていました…。
印象に残りましたのは、やはり個人的にお気に入りの銘柄と言うのもあるのですが、リチャード・カーショウのシラーでした。13年は飲んだことあったのですが、14年はより締まりがあってシルキー。美味しかったです。
南アの「プラッターズガイド」編集者 キャシィ・ヴァン・ジルMWによるレクチャー
南アフリカワインの権威「プラッターズガイド」という世界で1,400万部(累計)の発行部数を誇る、ワインガイド。キャシィ・ヴァン・ジルMWはその主席級のポジション。
特に大橋MWがマスターオブワインの最終論文を作る中で、その指導に名乗りを上げた唯一のMW。大橋MW曰く「私は英語が不十分だったから、意思の疎通が出来る・出来ないという面で、既に高いハードルがあった。キャシィの協力がなかったら、私はマスターオブワインになれなかった。」とのこと。
(キャシィ・ヴァン・ジルMW)
南アフリカの魅力はその産地としての多様性にある。ヒマラヤよりも6倍古く、ロッキー山脈よりも5倍古い土壌を有している。
畑も山中に位置するものがあり、西からの涼しい海流と東からのあたたかい海流がぶつかり合い、霧が出来る。
作り手も、ここ20年で急速に進化している。海外に出て修業をする生産者が増え、また20年前から徐々に樽の要素は排除したワインメイクが主流となってきている。
土地、品種、醸造方法などの組み合わせが増えてきたことがあり、「新しい」産地として注目されている。
一生に飲めるワインは限られている。日々のワインを「新しい・発見」としてほしい。たくさんのワインを飲むことによって、いろいろな感想を持ってほしい(要約)
1本ずつの解説(ポイント)が説明されていきました。個々のワインは個別に記事にしていきます。
ちょい気になることをキャシィMWに聞いてみた
ありがたいことに、日本の南アフリカワイン輸入の第一人者、輸入元のマスダの三宅さんがいらっしゃってました。阪神大ワイン祭で壇上で講師もやって、販売もやって、そのまま参戦。翌日も阪神大ワイン祭で販売応援だそうです。もともとお忙しい方ですが、この日もエグいスケジュールです。
私も英語ができませんので、キャシィMWにマスダの三宅さんに都合良く通訳をお願いして、いくつかキャシィMWに質問しました。お二方とも引っ張りだこなので一部しか聞けなかったですけど…。
Q.南アのワイン生産量自体は増えているのか?
A.直近だけ切るとると、特に天候要因の影響が厳しく出ている。乾燥した気候が続いているため、生産量は17年収穫としては落ちている。
(マスダ三宅氏補足)特に、灌漑に頼っている所はダムの水不足が深刻に出ている。生産量全体が減れば、当然供給量も減るので、難しい所。
Q.プラッターズガイドは今回100点制度を導入したけど、この辺もう少し詳しく教えて。
A.まず、プラッターズガイドとしても「100点制度」は4年ほど前から導入している。(ちなみに、私KOZEが所持している書籍版2016の冒頭にレート基準が書いてありました…)星5つの評点は今後も続けていく。書籍版は星5つ。APP版(WEB版)は合わせて100点制のスコアを表示するようにした。
Q.プラッターズガイドの100点制度を導入した理由は?
A.生産者やマーケットからも「星4.5」と「星5つ」の格差が出てしまっていると感じる。星4.5でも1回目の審査を通過(後術)したものが選ばれているのに、「星5つが良くて、星4.5はダメ」という風潮がある。
ここの公平性を出す意味でも、星5つ(95~100点)と、星4.5(90~94点)を見える化した方がいいとの判断。結果として、星4.5の中でもフェアになると思っている。
Q.審査のやり方は??特定の個人の評点に偏ることはないの?
A.まず1回目の審査はパネラー14名がいる中で行う。
うち、「90点以上(星4.5以上確定)」が獲得されたものは第二審査とする。第二審査は、再度3名でブラインドテイスティング。うち95点以上を獲得したものが星5つ(最高評価)を与えられる。
一個人の評点、という点では、(キャシィMW個人として)97点をつけた銘柄も過去あったが、いろいろふるいに掛けられて、最終的にそのワインは「92点」というレーティングだった。なるべくフェアになるようにしている。
Q.ぶっちゃけ、5つ星獲得が年々増えていて、今回は111本もある。多すぎない?
A.生産者が増えている、という点と、なにより品質が年々上がっているというのが大きい。南アフリカの生産者でも海外に出て修業を積んで、南アに戻ってくるというケースが多々あるので、非常にアクティヴで、土壌・品種・醸造含めて、新しいものが多い。5つ星は、2回の審査を経たものだから折り紙つきであることは間違いない。
また、大越基裕ソムリエからも「料理とのペアリング」という観点でのレクチャーもありました。
大越基裕ソムリエは現在、ベトナム料理の自身のお店、アン・ディを東京の渋谷区外苑前に17年7月にオープンしたばかり。
参考:モダンなベトナム料理とワイン、大越基裕ソムリエの「アン ディ」オープン
(大越基裕ソムリエ)
日本の食事は旨味が多かったり、口当たりが良いものが多い。ワインを合わせる上でも、タンニンや酸がしっかりしたものを選ぶよりも、わずかな残糖感や、旨みがしっかりしたものの方があいやすい。
うまみやにごりがあるようなワインは汎用性がある。旨みにもいろいろ種類があって、旨みと旨みが合うとコクになり、満足度が上がる。
オレンジワインやスキンコンタクトをした渋みを出した白ワインは、素材の軽さと脂質のあるもの、たとえば天ぷらとあったりする。自店で出しているのがアナゴのフリット。トマト、ヨーグルト、カルダモンのソースを添えている。南アフリカのオレンジワインは、他国のオレンジワインのタイトなものとは違い、果実みと渋みを備えているので、うまくペアリングする。
世界の料理が全体的に”軽い”傾向になっていく中で、南アフリカの豊かだけど重くない、豊かだけどフレッシュというワインは非常に汎用性が高いと思っている(要約)
日本が誇る権威、大橋MWからも総括としてコメント。
(大橋健一マスターオブワイン)
南アフリカのワインはサステナビリティ(持続可能性)という観点を持ったワイン生産国。自然保護の観点、ブドウ栽培に携わる労働者の保全、世界的に見ても倫理観のある生産地。
南アフリカのケープタウンは、世界の植物区の1つとして知られ、北半球一体に相当する植物種の数(およそ9,000種、69%の固有種)がケープタウンに集中しているという環境がある。
参考:Cape Floristic Region
常に、環境保全と言う点では国が厳しい基準を設け、ワイン生産者もそれにのっとって生産を行っている。たとえばワイン畑を開墾するするならば、その分、同等の植物(フィンボス)を植えなければならないなど。
また、労働者に関する賃金でもフェアトレードと言う観点を持っている。残念ながら、いくつかの生産国では、コストの安い労働者を使ってのワイン生産も行われている。南アフリカはワイン産業を持って、ブドウの生産者にお金が落ちていくような仕組みが出来ている。
そのような背景をワインを飲む側も理解したうえで、楽しんでほしい。そうして広がっていけば、ワインを飲む人の倫理観の向上にもつながっていくのではないかと思っている。(要約)
以上を持って盛大に終わりました。
さて、非常に大盛況で、結構キャパもパツパツで、かついろんな業種の人がいますから楽しかったです。
ワイン好きが高じて業界の中の人になったというお姉さんとかと話しましたが、御三家(山本氏、大橋MW、大越ソムリエ)とめっちゃよろこびながら写真撮ってました。わかりみ。
当然、主催の方々は引っ張りだこな状況ですし、特に一般愛好家の方が今後「フィールドブレンド」に参加されるようならば、もう飲んだついでにグイグイ行くくらいが良いです。時間も2時間でワインの解説あり、食事あり、だと「もっと会話がしたかった」的な雰囲気が漂いそうなので、積極的な方がアリです。
大橋MWにも、南アのワインに関係ないこととか聞いてしまったのですが、お話伺えば100返して頂けたので、バシバシ今後のイベントも参加される方は質問を投げられると良いかと思います。次回はもっとバシバシ行けるように頑張りたいと思います。
貴重なワインレポートチームのショット。左から大橋MW、山本昭彦氏、大越基裕ソムリエ。
大変に貴重な会でした。ワインレポートチームのみなさんありがとうございました。
また大阪で是非ともやってください。
フィールドブレンド 関連リンク
■WINE REPORT - ワインジャーナリスト山本昭彦によるワインレポート
https://www.winereport.jp/
■大橋 健一 MW(代表取締役社長) | 株式会社 山仁
http://www.yamajin.com/about/72/
■ベトナム料理店 Ăn Đi アンディ(大越ソムリエのベトナム料理店)
https://www.facebook.com/andivietnamese/
■Platter's Wine Guide
https://www.wineonaplatter.com/
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